社会福祉法人にじの会理事長 石崎優仁
にじの会は1995年の国際障害者年に調布養護学校の親と教員有志で結成し、2001年に社会福祉法人の認可を受け今年で法人設立20周年を迎えております。
結成趣意に沿って26年間歩んでまいりましたが、その到達状況は以下の通りです。
障害のある人が「住み慣れた地域の中で生活の場と日中の場を確保する事」を第一の目標に、2003年に最初の施設「大沢にじの里・未来工房にじ」を開所し、2006年に「ケアホームにじ」、2007年に「ワークショップハーモニー」を開所しました。この時期までは「障害者は保護の対象で障害者施設は迷惑施設」と見なされ、施設建設では反対運動が当たり前の状況でした。2009年の障害者制度改革で「障害者は権利の主体で差別は禁止される」事になり、住民の理解が抜本的に改善され2010年の「にじアート」、2012年の「ケアホームにじの森」イタリアンレストラン「ハーモニーガーデン」や2015年の「グループホームにじの空」の開設時には温かく受け入れていただく事ができました。また、生活施設の開設においては、障害者の家族と共同でプロジェクトを組み用地確保等を実行してきました。日中・就労施設の開設では三鷹市の補助が大きなサポートになりました。
「障害のある人が自分の個性を活かして輝いて生きていける事」という第二の目標は、自己決定と自己表現を障害の重い人でも保障し、生活面での社会参加や就労事業での経済活動への参加を進める事で、「障害のある人も地域住民の一人として普通の生活ができる事」を支援目標とする「寄りそう支援」を、にじの会の利用者支援の基本として確立してきつつあります。
第三の目標である「障害のある人もない人も互いに尊重し合い支え合う地域社会を築いていく事」は、様々な地域交流を積み重ねてきております。三鷹市大沢地区と新川中原地区では高齢者ケアネット事業との協同を進めており、4年前からは大沢地区高齢者買い物送迎支援事業「かわせみ」を継続実施しています。また、地域住民の方々から様々なボランティアや就労事業へのご協力を頂いており、今後は災害時の協力体制等も作っていきたいと考えています。
新型コロナ等の感染症や気候変動による災害・多発する地震等の環境の悪化と差別や格差による社会の分断が顕著になっている現状を変えて、自然と人間・人間同士が支え合う共生の地球・社会を目指すSDGsの流れが大きくなってきています。2030年を目標にするこの取り組みに、にじの会もその一員として参加していきたいと思います。
発足から26年、にじの会が法人設立20周年を迎えることができましたのも、地域の皆様を始め多くの方々のお力添えの賜物であり、心より感謝申し上げます。また、結成以来、先導して頂いた石原先生・三上先生のお二人がこの二年でお亡くなりになられました。両先生の思いを大切に引継ぎ、ご支援を頂いた皆様のお気持ちをしっかりと受け止めて、2030年に向けた、次の10年のにじの会の歩みを進めてまいりたいと思います。